パレオダイエット

 

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「おなかが減るとイライラする!」

「とりあえずお腹は満たしたい~、食べて痩せたい!」

といった方におすすめのダイエット法です。

(⚠研究の世界でも、万人に当てはまるダイエット法は分かっていません。「痩せる可能性が高い」とまでしか言い切れません。情報を鵜呑みにしすぎない姿勢を身に着けていただきたいと願います。そして、新しいダイエット法を取り入れる場合、自分の体と相談しながら少しずつ試していきましょう。)

 

 

 

■ パレオダイエットとは…

 

パレオは「Paleolithic」の略語で 旧石器時代 を意味します。

ダイエットは「diet」で、この場合、「痩せる」というよりも「食事」を意味します。

 

つまり、旧石器時代の食事 ということです。

 

旧石器時代の食生活は、狩りによって食糧を確保し、調理はほとんど行わず自然のまま食べる時代でした。

このような、旧石器時代の食生活を再現したダイエットです。

加工食品は有害だと考えられ、人の手が加わったものをほとんど食べまないようにします。自然の食物をありのまま食べるという方法です。

 

 

 

■ 何をすればいいの?

 

旧石器時代を模したダイエット方法ですが、、、

動物を狩りに行かなくても大丈夫です!(もちろん)

 

 

効果のあったとされる研究(Mellberg et al.2014) によると

 

パレオダイエットで積極的に摂取するものは、

赤身の肉、魚介類、卵、野菜、ナッツ、たね類、フルーツ、オリーブオイルなどです。

 

逆に摂取を控えなければならないものは、

乳製品、加工穀類、塩、精製油脂、精製糖などです。

つまり、加工食品は徹底して食べないです!

 

そして、食事摂取量の制限は特にありません!

 

 

 

 

■ ネット情報によると...

 

・肥満改善

・継続しやすい

・満腹感を得やすい

 

 などといったメリットを目にします。

 

 

 

 

■ これらの効果は科学的にどうなのか?

 

ここでは、パレオダイエットが本当に効くのか?

研究に基づいた根拠や理論を解説します。

上述した効果について検討していきます。

 

結論から言うと

・肥満改善→◎

・継続しやすい→◎

・満腹感を得やすい→◎

だと考えられます。

 

 

 

■ パレオダイエットの流行

 

パレオダイエットは旧石器時代(約250万年~1万年前)の食事を再現したものです。

とはいっても、先祖たちは住んでいる場所も様々で気候も違います。

そのため食生活も各地で異なるため、パレオダイエットの明確な定義はありません。

言うならば、加工食品や穀物類を控えるということです。

 

このパレオダイエットが流行り始めたのは2014年頃からだと考えられます。(in アメリカ)

実際に2014年には、Google検索で、‘‘パレオ”はダイエットに関する用語のなかで最も高い検索ワードとなりました。

その頃から、パレオダイエットが研究されるようになってきました。

 

 

■ なぜパレオダイエットで痩せるの?

 

パレオダイエットで積極的に摂取するものは、
赤身の肉、魚介類、卵、野菜、ナッツ、たね類、フルーツ、オリーブオイルなど

逆に摂取を控えなければならないものは、
乳製品、加工穀類、塩、精製油脂、精製糖など

以上の食事を考えると、主食となるものは肉、魚、野菜フルーツになります。

すなわち自然と高タンパク低糖質な食事になる!!ということです。某会社がCMで大胆な宣伝をしていますが、それと類似したダイエット法になります。

 

実際にMellberg et al.の研究では... 高齢の肥満気味の女性を対象にして、パレオダイエットを行うグループ(PD)と、北欧で推奨されている食事(NNR)を行うグループに分け、パレオダイエットの効果を検証しました。食事制限は行いませんでした。これをなんと2年間行いました(被験者も研究者も大変そう、、笑)。 結果は、以下の図のようになりました。

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Fig.1 Mellberg et al.より筆者作成

 

6ヶ月以内にPD条件の方々の体重は、NNR条件に比べて有意に減少していることが分かります。体重減少と同様に、脂肪量の減少も確認できました。

特に食事制限をしていないのに痩せたということが、辛くなくて良いですよね。 これに関して、高タンパク質の摂取は、好きなだけ食べても体重を落とすということが確認されています(Te Morenga.2010)。

 

よってパレオダイエットは肥満改善に有効だと考えられます。

(実は、高タンパク質低糖質の食事は痩せないという研究も存在します。これは対象者や介入期間、食事内容のような実験条件の微妙な違いによるものである可能性があります。パレオダイエットが自分の体に合うか確かめながら、徐々に試していきましょう。)

 

 

 

■ なぜ満腹感が生まれやすいの?

 

パレオダイエットでは魚を積極的に摂取します。

魚介類は、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)のようなω-3脂肪酸に富んでいます。

このω-3脂肪酸の摂取量の増加は満腹感を増加させることが報告されています(Parra D et al.2008)。

また、パレオダイエットでは高タンパクな食事になりますが、高タンパク質食は満腹感を得やすいということが報告されています(Poppitt et al. 1998)。

よってパレオダイエットの満腹感を得やすい食事によって、摂取するエネルギー量が減る可能性が考えられます。

 

 

 

■ 自由に食べれるなら簡単に続けられるってこと?

 

上述した、Mellberg et al.の研究(肥満者をPDグループとNNRグループに分け、行った実験)は、2年間の介入実験でした。

こういった、ヒトを対象とする実験では、人権を守るために被験者はいつでも実験からドロップアウトすることができようになっています。

つまり、きついダイエット法ほどドロップアウト率が高くなると考えられます。

 

このMellberg et al.の研究でのドロップアウト率ついて、PDグループは23%、NNRグループは37%となりました。PDグループはNNR(普通食)グループに比べて低くなっています。2年間の介入実験ということを考慮すると両者のドロップアウト率は低いでしょう。

このことからパレオダイエットは、継続しやすいダイエット法であると考えられます。続けやすい要因の一つとして「食事制限なし」という点が要因であるかもしれません。

 

 

もう一つの要因として、「短期間で効果が出る」ことが挙げられます。

パレオダイエットによって体質が改善した論文をまとめてみてみると、10日から5週間程度で効果がみられています(Frassetto et al.2009 , Osterdahl et al.2008 , Ryberg et al.2013)。

すぐに効果が出やすいのでモチベーションを保ちやすいダイエット法と考えられます。

 

 

 

■ まとめ

 

パレオダイエットは肥満改善に効果的だと考えられます。 満腹感が得やすいということで、継続して行えそうです。

 

しかしながら、万人に当てはまるダイエット法は存在しません。 自分の体と相談しながら、少しずつ慎重に試していくことをお勧めします。

 

お役に立つことができましたでしょうか?

他の記事についても読んでいただけたら幸いです。

 

 

■ 参考

 

Frassetto LA, Schloetter M, Mietus-Synder M, Morris RC Jr., Sebastian A. Metabolic and physiologic improvements from consuming a paleolithic, hunter-gatherer type diet. Eur J Clin Nutr 2009;63:947–55.

 

Osterdahl M, Kocturk T, Koochek A, Wa ¨ndell PE. Effects of a shortterm intervention with a paleolithic diet in healthy volunteers. Eur J Clin Nutr 2008;62:682–5.

 

Ryberg M, Sandberg S, Mellberg C, Stegle O, Lindahl B, Larsson C, Hauksson J, Olsson T. A Palaeolithic-type diet causes strong tissuespecific effects on ectopic fat deposition in obese postmenopausal women. J Intern Med 2013;274:67–76.

 

Eric W Manheimer, Esther J van Zuuren, Zbys Fedorowicz, and Hanno Pijl. Paleolithic nutrition for metabolic syndrome: systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr 2015;102:922–32 C

 

Mellberg, S Sandberg , M Ryberg , M Eriksson , S Brage , C Larsson , T Olsson and B Lindahl.Long-term effects of a Palaeolithic-type diet in obese postmenopausal women: a 2-year randomized trial. European Journal of Clinical Nutrition 2014;68, 350–357

 

Parra D, Ramel A, Bandarra N, Kiely M, Martinez JA, Thorsdottir I. A diet rich in long chain omega-3 fatty acids modulates satiety in overweight and obese volunteers during weight loss. Appetite 2008; 51: 676–680.

 

Poppitt, SD; Swann, DL; Murgatroyd, PR; et al. Effect of dietary manipulation on substrate flux and energy balance in obese women taking the appetite suppressant dexfenfluramine. AMERICAN JOURNAL OF CLINICAL NUTRITION.1998;68:1012-1021.